文章作成の用語集

レポート、論文、メール、Web記事を日本語で書くときによく出てくる用語を、短くはっきり説明します。それぞれ、関連するツールやガイドにリンクしています。

要点

この用語集では、日本語で文章を書く人が調べることの多い33の用語を解説します。敬語の五分類、です・ます体とだ・である体、ら抜き言葉、送り仮名、現代仮名遣い、常用漢字表、表記ゆれといった日本語特有の用語から、引用と出典、参考文献リスト、パラフレーズ、剽窃、要約、AI文章判定まで取り上げます。各定義は短くまとめ、関連するツールやガイドへ進めます。

SIST 02 科学技術情報流通技術基準

科学技術振興機構が定めた参照文献の書き方の基準で、日本の理工系の論文で長く参照されてきました。現在は学会や大学が指定する書式を優先するのが基本で、APAやシカゴ形式を求められることもあります。提出先の執筆要領を先に確認してください。

ら抜き言葉

「見られる」「食べられる」の「ら」を抜いて、「見れる」「食べれる」と言う形です。可能の意味を表す話し言葉では広まっていますが、公用文やレポート、ビジネス文書では誤りとされることが多く、正しい形に直すのが無難です。五段活用の動詞の「行ける」などは、ら抜きではありません。

引用 直接引用・間接引用

他人の文章や資料の一部を、自分の文章の中で示すことです。原文をそのまま使う直接引用は鍵括弧「」や字下げで区別し、出典を添えます。内容だけを使う間接引用でも出典が必要です。自分の主張が主、引用が従という関係を保ち、引用の分量が多くなりすぎないようにします。

外来語の表記 カタカナ語

外国語に由来する語を、カタカナで書くときの表記です。内閣告示「外来語の表記」(1991年)が目安を示しており、長音は「ー」で書きます。「コンピュータ」と「コンピューター」のように語尾の長音が揺れる語は、分野や媒体の方針に従って統一します。「シュミレーション」のような誤った形も、よく見られます。

脚注・文末脚注

本文の補足や出典を、本文とは別の場所にまとめて書く方法です。脚注は同じページの下に、文末脚注(後注)は章や文書の終わりに置きます。人文系の論文では出典の明記に使われ、番号で本文と対応させます。付け方は分野で違うため、規定に合わせます。詳しくは脚注と文末脚注をご覧ください。

句読点 、。

文を区切る「。」(句点)と、文中の切れ目に打つ「、」(読点)の総称です。読点の打ち方には絶対の規則がなく、意味の切れ目や読みやすさで判断します。公用文では長く「,」「.」を使う場合もありましたが、現在は「、」「。」が一般的です。使い方は日本語の句読点でまとめています。

敬語 五分類

話し手と読み手や話題の人物との関係に応じて、言葉づかいを改める表現の総称です。文化審議会の「敬語の指針」(2007年)は、尊敬語、謙譲語I、謙譲語II(丁重語)、丁寧語、美化語の五つに分けています。誰の動作を高めるのかを意識すると、使い分けやすくなります。敬語の使い方で例を挙げています。

敬体(です・ます体) 丁寧体

文末を「です」「ます」で結ぶ文体です。読み手に丁寧な印象を与えるため、メール、手紙、ブログ、説明文によく使われます。学術的なレポートや論文では、ふつう常体を使います。一つの文章の中で敬体と常体を混ぜないのが原則です。使い分けはです・ます体とだ・である体で説明しています。

謙譲語 謙譲語I・謙譲語II

自分の側の動作をへりくだって表す敬語です。「申し上げる」「伺う」のように、動作が向かう先の相手を立てるのが謙譲語Iで、「申す」「参る」のように、聞き手に丁重に述べるのが謙譲語II(丁重語)です。尊敬語と取り違えて、相手の動作に「伺う」を使う誤りが、ビジネスメールでよく見られます。

現代仮名遣い

現代の日本語を仮名で書くときの決まりで、1986年に内閣告示として定められました。助詞の「は」「へ」「を」を除けば、基本的に発音どおりに書きます。「こんにちは」を「こんにちわ」、「ずつ」を「づつ」と書く誤りは、この決まりから外れた書き方です。表記を迷ったときの基準になります。

公用文 公用文作成の考え方

官公庁が作成する文書の文章です。文化審議会が2022年に建議した「公用文作成の考え方」は、常用漢字表や送り仮名の付け方に沿った書き方を示し、読み手に伝わりやすいことを重視します。民間の文書でも、通知文や社内文書などで参考にされます。詳しい書式は社内文書・メモの書き方で解説しています。

構成案 アウトライン

本文を書き始める前に、章や節の順序と、それぞれに書く要点を箇条書きで整理した設計図です。序論・本論・結論の流れを先に決めておくと、内容の重複や抜けを防げ、書く時間も短くなります。レポートや卒業論文では、構成案を先生や指導教員に見せて、方向を確認することもあります。

参考文献リスト 参考文献一覧

文章の中で引用・参照した資料を、末尾にまとめた一覧です。著者、発行年、題名、出版社や掲載誌、ページ、URLなどを、指定された形式の順序で書きます。引用した資料だけを載せるのが原則で、読んだだけの資料を含める文献表とは区別されます。違いは参考文献と文献表の違いで解説しています。

主張文 論点・テーゼ

小論文やレポートの序論で、全体の中心となる主張と、その理由の方向を一文で示したものです。「〜について述べる」と話題を示すだけでなく、「〜すべきである。なぜなら〜」のように、賛否を問える主張にします。字数に収まる範囲に絞ることも大切です。主張文の書き方も参考にしてください。

受け身 受動態

動作を受ける側を主語にして述べる言い方で、「れる」「られる」で表します。日本語では、迷惑や被害を表す「雨に降られた」のような受け身があり、英語の受動態とは使い方が違います。論文では客観的に述べるために使われますが、多用すると回りくどくなるため、能動の文に直せるかを確認します。

常体(だ・である体)

文末を「だ」「である」などで結ぶ文体です。簡潔で断定的な印象になるため、レポート、論文、新聞記事など、客観的に書く文章で使われます。「だ」は日常的な書き方、「である」はやや硬い書き方として使い分けます。同じ文章の中で敬体と混ぜず、文末の表現が単調にならないよう変化を付けます。

常用漢字表

一般の社会生活で用いる漢字の目安を示した、内閣告示の表です。2010年の改定で2,136字になりました。公用文や新聞は、この表を基準に書きます。表にない漢字や読みを使うと、仮名書きにしたり振り仮名を付けたりします。表は漢字の使用を制限するものではなく、目安として定められています。

接続詞 つなぎ言葉

文と文、段落と段落の関係を示す言葉です。「しかし」は逆接、「したがって」は順接、「また」は並列、「たとえば」は例示を表します。適切に使うと、論理の流れが読み手に伝わります。ただし、つなぎすぎると文章がくどくなり、「しかし」が続くと主張が分かりにくくなります。必要な箇所に絞って使います。

全角・半角

文字の幅の違いです。日本語の文章では、ひらがな、カタカナ、漢字、句読点は全角で書くのが原則で、半角カタカナは使いません。英数字は、媒体の方針によって半角にそろえることが多くあります。全角と半角が混ざっていると見栄えが悪く、検索や文字数の数え方にも影響するので、提出前にそろえます。

送り仮名

漢字で書く語の読み方を明らかにするために、漢字のあとに付ける仮名です。内閣告示「送り仮名の付け方」(1973年)が、本則と許容を定めており、「行う」が本則で「行なう」が許容にあたります。公用文では本則を使うのが基本です。迷いやすい例は送り仮名のルールで整理しています。

尊敬語

相手や第三者の動作・状態を高めて表す敬語です。「いらっしゃる」「おっしゃる」「召し上がる」のような特別な形のほか、「お読みになる」「読まれる」といった形があります。自分や身内の動作には使いません。「ご覧になられる」のような二重敬語は、一般には避けるのが無難とされています。

丁寧語

聞き手や読み手に対して、丁寧に述べる敬語です。「です」「ます」「ございます」がこれにあたります。話題の人物を高めるわけではなく、相手に向けた言葉づかいの丁寧さを表します。尊敬語や謙譲語と組み合わせて使うのがふつうで、「ございます」のほうが「です」より改まった印象になります。

同音異義語 同音異字

読みが同じで、意味や漢字が異なる語です。「意志」と「意思」、「作る」「造る」「創る」のように、変換のときに誤りやすい組み合わせがたくさんあります。文字としては正しい語なので、辞書によるスペルチェックでは見つからず、前後の文脈で判断する必要があります。例は同音異義語の使い分けに挙げています。

読みやすさ 可読性

読み手が内容をすぐ理解できる度合いです。一文の長さ、漢字とかなの割合、段落の長さなどが影響します。このサイトの読みやすさチェックは、日本語では主に一文の長さを反映した簡易的な目安で、文章の質を保証するものではありません。数値だけで判断せず、実際に読み返して調整してください。

美化語

物事を上品に表すために、「お酒」「お料理」「ご祝儀」のように、名詞に「お」「ご」を付ける言い方です。尊敬語とは違って、特定の相手の持ち物を高めるものではありません。付けすぎるとかえって不自然になるため、「お」を付けるのがふつうの語と、付けないほうがよい外来語を、見分けることが大切です。

表記ゆれ

同じ語や同じ意味の言葉を、同じ文章の中で違う書き方にしてしまうことです。「お問い合わせ」と「お問合せ」、「サーバー」と「サーバ」のような例があります。どちらかが誤りとは限らないため、一つの文章の中では一つの書き方に統一します。読み手の信頼を損ねないよう、提出前に確認することが大切です。

文字数 スペースの有無

レポートや応募書類では、字数の指定が決められていることが多くあります。数え方には、スペースや改行を含める場合と、含めない場合があり、指定の条件を確認する必要があります。英単語を数える語数とは違い、日本語では文字単位で数えるのがふつうです。提出前に、提出先の条件で数え直してください。

要約

文章の要点だけを、自分の言葉で短くまとめることです。例や補足は省き、元の文章よりずっと短くなります。他人の文章を要約して使う場合も、パラフレーズと同じように出典を示す必要があります。長さの目安は目的によって変わります。書き方の手順は要約の書き方で説明しています。

論文要旨 アブストラクト・概要

論文全体の目的、方法、主な結果、結論を、短くまとめた文章です。本文を書き終えてから、完結した文で書くのが一般的で、分野によって字数の指定があります。キーワードを添える場合も多くあります。読み手はこの要旨で読み進めるかを判断するため、本文にない内容は入れません。

剽窃 盗用・コピペ

他人の文章、考え、データを、出典を示さずに自分のものとして使うことです。出典のない転載、鍵括弧のない引き写し、出典を書かない言い換え、自分の過去のレポートの再利用も含まれます。扱いは各大学の規則で決まるため、提出先の案内を確認してください。剽窃とはで詳しく説明しています。

よくある質問

敬語は何種類に分けられますか?

文化審議会の「敬語の指針」(2007年)では、尊敬語、謙譲語I、謙譲語II(丁重語)、丁寧語、美化語の五つに分けています。誰の動作を高めるのかを考えると、使い分けやすくなります。

レポートでは、です・ます体とだ・である体のどちらを使いますか?

大学のレポートや論文では、だ・である体(常体)が一般的です。ただし、指定がある場合はそれに従ってください。いずれにしても、一つの文章の中で文体を混ぜないことが大切です。

表記に迷ったとき、何を基準にすればよいですか?

提出先や媒体の指定を最優先にし、指定がなければ、文化庁の国語施策(常用漢字表、現代仮名遣い、送り仮名の付け方、外来語の表記)や「公用文作成の考え方」を目安にします。