結論・おわりにの書き方:本論のくり返しにならない締め方と例文
結論は、序論の問いへの答えを最初に言い切り、その根拠を二、三点に絞ってまとめ、最後に研究の限界と今後の課題を添えて締めます。新しい根拠は持ち込まず、本論の文をそのまま写すのも避けます。「〜と思う」は根拠のある箇所では「〜といえる」に直しましょう。
最初に:結論に書く3つのこと
レポートや論文の結論(「おわりに」「まとめ」「結語」とも呼ばれます)には、次の3つを順番に書けば形になります。
- 問いへの答え:序論で立てた問い、または主張に対する答えを、最初の一文で言い切る
- 根拠の要約:その答えを支える本論の根拠を、二、三点に絞って短く言い直す
- 限界と今後の課題:この研究・調査で言えなかったこと、次に調べるべきことを正直に示す
反対に、結論でしてはいけないことは次の3つです。
- 本論の段落をほぼそのまま貼り付けて長くする
- 本論で扱っていない新しい根拠や新しい話題を持ち出す
- 「いろいろ考えさせられた」のような感想で終える
結論は、読者が最初に開く場所でもあります。教員や査読者は、序論と結論を先に読んで「この文章は何を言いたいのか」を確かめることが多いものです。そのため、結論だけを読んでも主張が分かるように書いてください。
結論と「まとめ」「考察」「感想」の違い
大学のレポートでは、似た名前の項目が混ざりやすいので、役割を分けて考えます。
| 項目 | 役割 | 書く内容の例 |
|---|---|---|
| 考察 | 結果の意味を解釈し、先行研究や仮説と照らして議論する | 「この結果は、〇〇の指摘と一致する。一方で△△の点は説明できない」 |
| 結論 | 問いへの答えを示す | 「以上より、〇〇は△△であるといえる」 |
| 今後の課題 | 限界を踏まえて次の研究を示す | 「対象が一大学に限られるため、他大学での調査が必要である」 |
| 感想 | 個人の気づきや心情 | 実験・実習のレポートで求められる場合に限り、別項目で書く |
実験レポートや実習報告では「結果」「考察」「結論」を分ける型が一般的です。一方、文系のレポートでは「おわりに」の中に結論と今後の課題をまとめる型がよく使われます。どちらの型かは授業ごとに違うので、シラバスや課題の指示、担当教員の案内を先に確認してください。
書き方の手順:問い→答え→根拠→限界
手順1:序論の問いを見直す
結論は、序論と対になります。まず、自分の序論から「問い」と「主張(仮の答え)」の部分を抜き出します。
例(序論)
本稿では、大学生の通学時間の長さが睡眠時間に与える影響を、学内アンケートの結果から検討する。
この序論の問いは「通学時間は睡眠時間に影響するか」です。結論は、この問いに答える形で始めます。
手順2:答えを一文で言い切る
例(結論の一文目)
以上の検討から、通学時間が長い学生ほど平日の睡眠時間が短い傾向があることが示された。
序論の言葉(通学時間、睡眠時間)を結論でも同じ言葉で使うと、読者は両者の対応にすぐ気づきます。途中で「移動時間」「就寝時間」のように言葉を変えると、別の話に見えてしまいます。
手順3:根拠を二、三点に絞る
本論で述べた根拠のうち、答えを直接支えるものだけを選びます。
例
根拠は二点ある。第一に、回答者120名のうち、通学が片道90分以上の学生は、60分未満の学生より平日の睡眠時間が短かった。第二に、通学時間が長い学生ほど、授業前日の就寝が遅いと答えていた。
数字を書く場合は、自分が実際に集めたデータ、または出典のある数値だけを使います。例文の数字は説明用の架空の例です。実際のレポートでは、自分の調査結果に置き換えてください。
手順4:限界を正直に書く
限界の書き方は、評価を下げるものではありません。範囲を正確に示すことは、誠実な書き方として受け取られます。
例
ただし、本調査は一大学の学生を対象とした自己申告のアンケートであり、アルバイトの有無や部活動などの要因を十分に統制できていない。
手順5:今後の課題で締める
例
今後は、複数の大学で調査を行い、生活時間の記録をもとに分析することが課題である。
例文:書き直し前後の比較
悪い例:本論のくり返しと感想で終わる
最後にまとめると、通学時間と睡眠時間について調べた。アンケートをとったところ、通学時間が長い人は睡眠時間が短い人が多かった。アンケートは120名にとった。私はこの結果を見て、通学時間は大変だと思った。もっと調べたいと思う。
問題点は次のとおりです。
- 「最後にまとめると」と言いながら、問いへの答えが曖昧
- 調査内容の説明(本論の内容)をくり返している
- 「大変だと思った」は感想で、根拠のある主張ではない
- 限界と今後の課題が具体的でない
良い例:答え・根拠・限界・課題の順
本稿では、通学時間が睡眠時間に影響するかを、学内アンケートから検討した。その結果、通学時間が長い学生ほど平日の睡眠時間が短い傾向が確認された。根拠は二点ある。第一に、通学が片道90分以上の学生は、60分未満の学生より睡眠時間が短かった。第二に、通学時間が長い学生ほど、前日の就寝が遅いと答えていた。ただし、本調査は一大学での自己申告に基づくため、因果関係を断定することはできない。今後は、複数の大学で、生活時間の記録を用いた調査を行うことが課題である。
(上の文章の数値は書き方を示すための例で、実在の調査ではありません。)
「〜と思う」「〜ではないだろうか」を言い切りに直す
学生のレポートで多いのが、結論が「〜と思う」「〜ではないだろうか」で終わる書き方です。日本語では控えめな言い方が好まれる場面もありますが、レポートや論文では根拠のある主張は言い切るのが基本です。
| 弱い書き方 | 直し方 | 使い分けの目安 |
|---|---|---|
| 〜だと思う | 〜である/〜といえる | 根拠が本論で示されているとき |
| 〜ではないだろうか | 〜と考えられる/〜と推測される | 根拠はあるが断定までは言えないとき |
| 〜かもしれない | 〜の可能性がある | 可能性にとどまるとき。理由を添える |
| 〜だと感じた | 〜が確認された/〜が示された | 結果を述べるとき |
| いろいろ考えさせられた | (書かない。具体的な課題に置き換える) | 感想は結論に入れない |
例
- 直す前:「通学時間は睡眠に悪い影響を与えているのではないだろうか。」
- 直した後(根拠が十分なとき):「通学時間の長さは、睡眠時間の短さと関連している。」
- 直した後(因果までは言えないとき):「通学時間の長さが睡眠時間の短縮に影響している可能性がある。」
ポイントは、言い切りの強さを根拠の強さに合わせることです。何でも断定すれば良いわけではありません。アンケートの相関から因果を断定するのは言い過ぎです。逆に、十分な根拠があるのに「〜と思う」と書くと、自分の主張に自信がないように見えます。
文末の表現(である調)や、文体の統一についてはです・ます調とだ・である調で整理しています。レポートでは「だ・である」で統一するのが一般的です。
文章の型の例:レポートの種類別
実験・調査レポート
目的に対する結果と、その解釈、誤差や限界を述べます。
本実験の目的は、〇〇を確認することであった。実験の結果、△△が確認され、仮説は支持された。ただし、測定回数が少なく、誤差の評価が十分でない。今後は測定回数を増やして再検証する。
卒業論文の「おわりに」
研究全体の問いへの答え、各章の要点、研究の意義、限界、今後の課題を述べます。章ごとの要約を長々と並べるのではなく、問いにどう答えたかを軸にしてください。
本研究は、〇〇という問いに、△△の方法で取り組んだ。第3章では□□を、第4章では◇◇を明らかにした。これらをあわせると、〇〇は××であるといえる。本研究の限界は、対象が限られている点にある。今後の課題は、他地域との比較である。
使える表現と避けたい表現
結論の書き出しや接続表現には、次のようなものがあります。
- 問いに答える:「以上より」「以上の検討から」「本稿の結果から」
- 根拠をまとめる:「根拠は二点ある」「その理由は次のとおりである」
- 限界を示す:「ただし」「もっとも」「本研究には〜という限界がある」
- 課題を示す:「今後の課題は〜である」「〜については今後の検討に委ねたい」
避けたい書き方も確認しておきます。
- 「最後に」「結論から言うと」を連発する(段落の最初に一度で十分)
- 「〜について調べてみた」(調べた事実より、分かったことを書く)
- 「以上、〜でした」(口語的な締め)
- 本論で一度も出てこなかった用語や資料の追加
- 「〜と言われている」(誰が言ったのか分からない伝聞)
句読点やかぎ括弧の使い方は、日本語の句読点の使い方で確認できます。また、文章の構成全体についてはレポートの書き方と序論・はじめにの書き方を合わせて読むと、序論と結論の対応が分かりやすくなります。
提出前チェックリスト
- 結論の一文目で、序論の問いに答えている
- 序論と結論で、キーワードが同じ言葉で書かれている
- 根拠は二、三点に絞り、本論の内容と矛盾していない
- 結論に新しい根拠・新しい話題がない
- 数値や引用は、本論と同じ値・同じ出典になっている
- 「〜と思う」を、根拠に応じて「〜といえる」「〜と考えられる」に直した
- 限界と今後の課題が、具体的に書かれている
- 文体(である調など)が、本論と揃っている
- 字数や形式の指定を、課題の指示と照らして確認した
AdeptWrite のツールで見直す
下書きができたら、次のツールが見直しの補助になります。いずれも自動処理による支援で、最終的な判断は書き手自身が行います。
- AI文章校正ツール:誤字脱字、助詞の誤り、不自然な表現を指摘し、直した箇所をハイライトで示します。「〜と思う」を残すかどうかは、根拠を見ながら自分で決めてください。
- 敬語・文体変換ツール:です・ます調の文を、よりフォーマルな文体に書き換える下書きを作ります。レポートの文体は、提出先の指示を優先して確認してください。
- 文章推敲ツール:回りくどい文や、ねじれた文を整えた案を出します。意味が変わっていないかを、必ず元の文と見比べてください。
ツールの出力は、元の文章の趣旨とずれることがあります。提出するのは、あくまで自分が内容を理解し、責任を持てる文章にしてください。
まとめ
結論は、本論の要約ではなく、問いへの答えです。答えを最初に言い切り、根拠を二、三点に絞り、限界と今後の課題で締めます。新しい根拠は足さず、本論の文をそのまま写さず、根拠のある箇所は「〜といえる」と言い切りましょう。書き終えたら、序論を読み返して、問いと答えが対応しているかを確かめてください。
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よくある質問
結論は何文字くらい書けばよいですか?
決まった文字数はありません。目安として、レポート全体の1割前後に収めると、本論とのバランスがとれます。字数の指定や章の構成は課題ごとに異なるため、指示書やシラバス、担当教員の案内を優先してください。
結論に自分の意見や感想を書いてもよいですか?
根拠のある自分の主張は書いて構いません。ただし「大変だと思った」のような感想は、実験や実習レポートで感想欄が求められる場合を除き、結論には入れないのが一般的です。迷ったら課題の指示を確認してください。
「おわりに」と「結論」はどう違いますか?
厳密な区別は分野や授業で異なります。結論は問いへの答え、おわりには結論に加えて限界や今後の課題までを含める章として使われることが多いです。章の名前は授業の指定に従い、中身は答え、根拠、限界の順に整えます。
結論で本論と同じ文を使うのは盗用になりますか?
自分の文章の再利用は盗用ではありませんが、そのままの貼り付けは評価されにくく、内容の薄さに見えます。要点を言い直し、問いへの答えという視点でまとめ直してください。他人の文章を使う場合は、引用と出典が必要です。
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